千一夜物語

計画外の出来事に神羅と澪は戸惑ったが――母ふたりはそれぞれ神羅と澪について花嫁衣裳をよってたかって着せ始めた。


「あの…私もなんていいんでしょうか…」


「いいんですよ、大体祝言を二度挙げるなんて意味のないことをする必要はありません。全く…黎明は本当に気の利かない…」


「二度祝言を挙げたいと思うほど澪さんと桃花さんを愛しているということじゃないかしら?」


「まあ、なんて欲張りな子」


あはは、と声を上げて笑った黎の母ふたりは、全く系統の異なる顔をした澪と神羅を交互に見つめてにっこり。


「可愛らしい澪さんと美しい桃花さん、どうか黎明をよろしくお願いしますね」


「い、いえこちらこそ…。私のようなどこの馬の骨か分からぬ女を選んで頂けるなんて」


「黎明さんは私たちふたりにどんとお任せ下さい!」


性格も真逆なふたりの反応にまた母ふたりは笑い、ふたり共に黎の匂いのする澪たちと息子がうまくやれていることを心から喜んで化粧を施した。


「澪」


「あ、お父様とお母様!来てくれてありがとうございますっ」


今度は澪の両親が到着してまさに屋敷はてんわやんや状態。

庭では九尾の白狐姿になった玉藻の前が見世物状態で取り囲まれ、黎はすでに酒に手をつけた父に絡まれて澪と神羅のあれこれを聞かれまくり、ある意味阿鼻叫喚の地獄絵図だった。


「黎明よ、これなら孫の顔はすぐに見れそうだな」


「さあ…百鬼夜行で忙しくやっているからのんびり待っていてくれ」


「俺もその百鬼夜行とやらについて行きたいぞ。連れて行け」


絡まれまくって、祝言など挙げなければよかったと後悔していた。