黎は直ちに行動に移した。
血判状は2枚あり、写しを持っていた黎は、仲間を集めてそれを皆に見せて今後の身の振り方を問うた。
「俺は契約により、人を食わず、殺さず、犯さず、妖が人を襲おうとすればそれらを制裁する。だから同士をこの手で殺すことになる。…賛同してくれとは言わない。俺ひとりでもやる。だからお前たちは納得できなければ、ここから去ってくれ」
皆が顔を見合わせて一瞬どよめいたが――元々黎を慕って頼ってやって来た者たちは、傍に居られる条件としてすでにそれらを提示されていたため、異論はなかった。
そして黎の表情が――何かを堪えているような表情で今にも泣きそうに見えたため、彼らは黎ににじり寄って膝を折った。
「私たちは黎様と共に行きます。どんな時もあなたの傍に。恨まれても構いません。この紙に書いてあるように、人と同じ世界で共存できるならその方がいいですから」
烏天狗が静かに語り、黎が傍に置いていた徳利を指した。
「黎様のお家は妖が妖と契約して使役できる能力をお持ちですね。空を飛べぬ者も飛べるようになると聞いたことがあります。黎様、どうか我々と契約して下さい。どうか」
――どうか、どうかと契約を求めて殺到した火車たちについ目が潤みそうになった黎は、深呼吸をして背筋を正すと、徳利を手にした。
「分かった、契約をしよう。あとそれと…」
言葉を切った黎は、昨晩神羅が繰り返し繰り返し――口にしていた言葉を思い出して噛み締めながら、彼らを見回して笑った。
「俺のことは今後‟主さま”と呼んでくれ。それが俺からの最後の条件だ」
「主さま、か…。主さま…良い響きだ。主さま!」
皆が口々に叫ぶ中、牙と玉藻の前は仲間を押し退けて黎の前に陣取ると、にっこり笑った。
「では主さま、まずは側近のわたくしたちと契約を」
黎は目を細めながら明るくなった空を見上げた。
同じ世界で生きてゆくために――偉業を成し遂げる。
神羅、お前のために。
血判状は2枚あり、写しを持っていた黎は、仲間を集めてそれを皆に見せて今後の身の振り方を問うた。
「俺は契約により、人を食わず、殺さず、犯さず、妖が人を襲おうとすればそれらを制裁する。だから同士をこの手で殺すことになる。…賛同してくれとは言わない。俺ひとりでもやる。だからお前たちは納得できなければ、ここから去ってくれ」
皆が顔を見合わせて一瞬どよめいたが――元々黎を慕って頼ってやって来た者たちは、傍に居られる条件としてすでにそれらを提示されていたため、異論はなかった。
そして黎の表情が――何かを堪えているような表情で今にも泣きそうに見えたため、彼らは黎ににじり寄って膝を折った。
「私たちは黎様と共に行きます。どんな時もあなたの傍に。恨まれても構いません。この紙に書いてあるように、人と同じ世界で共存できるならその方がいいですから」
烏天狗が静かに語り、黎が傍に置いていた徳利を指した。
「黎様のお家は妖が妖と契約して使役できる能力をお持ちですね。空を飛べぬ者も飛べるようになると聞いたことがあります。黎様、どうか我々と契約して下さい。どうか」
――どうか、どうかと契約を求めて殺到した火車たちについ目が潤みそうになった黎は、深呼吸をして背筋を正すと、徳利を手にした。
「分かった、契約をしよう。あとそれと…」
言葉を切った黎は、昨晩神羅が繰り返し繰り返し――口にしていた言葉を思い出して噛み締めながら、彼らを見回して笑った。
「俺のことは今後‟主さま”と呼んでくれ。それが俺からの最後の条件だ」
「主さま、か…。主さま…良い響きだ。主さま!」
皆が口々に叫ぶ中、牙と玉藻の前は仲間を押し退けて黎の前に陣取ると、にっこり笑った。
「では主さま、まずは側近のわたくしたちと契約を」
黎は目を細めながら明るくなった空を見上げた。
同じ世界で生きてゆくために――偉業を成し遂げる。
神羅、お前のために。

