玉藻の前の他にも妖は多数屋敷内に居たが、玉藻の前のように位の高い妖は数が少なく、何が楽しくて黎の嫁になる女を守らなくてはいけないのかと頬を膨らませながらも傍に居た。
「何が…起きているのですか…!?」
「…あなたを狙っている妖がこちらに向かっているのでしょう。黎様は討ち漏らしたのですね」
連れ去られた澪を追って黎も居なくなり、留守を任された形の玉藻の前は、人型の姿のままでは分が悪いと判断してすくっと立ち上がり、まだ顔色の悪い神羅を部屋に戻そうと命令した。
「今からここは戦場になります。あなたがちょろちょろしていては目障りですから部屋に居なさい」
「黎は…」
「こちらに向かっていますから安心しなさい。悪路王の目的はあなたの命。あなたが死んでしまってはわたくしは黎様のお傍には居られなくなります。それだけは避けなくては!さあさあ!」
部屋に押し込まれた形になった神羅は、顔をしかめて傷口を押さえながらも空模様が怪しくなってきたのを見て不安な気持ちを隠せなかった。
澪は無事だろうか?
黎はあんなに強いのに悪路王を討ち漏らすなんて、何か不測の事態があったのではないだろうか?
俄かに騒がしくなった妖たちを玉藻の前はあてにはしていない。
あわよくば自分が向かって来る敵を全て屠って黎に褒めてもらいたい――やる気が漲るというものだ。
「ちょっとわたくし元の姿に戻りますが、神々しさに目を潰されませんように」
「え?…わ、すご……」
玉藻の前の輪郭がぼやけると白く発光して手で目を庇った神羅は、薄目を開けて玉藻の前を見た。
だが人型の玉藻の前の姿はなく、そこには――牙のように身体の大きな九本の尾を持つ白狐の姿があった。
「なんと…美しい…」
「そうでしょう、そうでしょうとも!さあ来なさい雑魚共。世に数多く存在せぬ九尾の白狐がその命、刈り取ってくれる!」
高い声で雄たけびを上げて、悪路王率いる妖を待ち受けた。
「何が…起きているのですか…!?」
「…あなたを狙っている妖がこちらに向かっているのでしょう。黎様は討ち漏らしたのですね」
連れ去られた澪を追って黎も居なくなり、留守を任された形の玉藻の前は、人型の姿のままでは分が悪いと判断してすくっと立ち上がり、まだ顔色の悪い神羅を部屋に戻そうと命令した。
「今からここは戦場になります。あなたがちょろちょろしていては目障りですから部屋に居なさい」
「黎は…」
「こちらに向かっていますから安心しなさい。悪路王の目的はあなたの命。あなたが死んでしまってはわたくしは黎様のお傍には居られなくなります。それだけは避けなくては!さあさあ!」
部屋に押し込まれた形になった神羅は、顔をしかめて傷口を押さえながらも空模様が怪しくなってきたのを見て不安な気持ちを隠せなかった。
澪は無事だろうか?
黎はあんなに強いのに悪路王を討ち漏らすなんて、何か不測の事態があったのではないだろうか?
俄かに騒がしくなった妖たちを玉藻の前はあてにはしていない。
あわよくば自分が向かって来る敵を全て屠って黎に褒めてもらいたい――やる気が漲るというものだ。
「ちょっとわたくし元の姿に戻りますが、神々しさに目を潰されませんように」
「え?…わ、すご……」
玉藻の前の輪郭がぼやけると白く発光して手で目を庇った神羅は、薄目を開けて玉藻の前を見た。
だが人型の玉藻の前の姿はなく、そこには――牙のように身体の大きな九本の尾を持つ白狐の姿があった。
「なんと…美しい…」
「そうでしょう、そうでしょうとも!さあ来なさい雑魚共。世に数多く存在せぬ九尾の白狐がその命、刈り取ってくれる!」
高い声で雄たけびを上げて、悪路王率いる妖を待ち受けた。

