fairy3 空の物語 中

『いや……ソレイユ』

私は両手で顔を覆った。

『私を……置いて行かないで! 私の……側にいて! 私を――』

私を……一人にしないで!

そう心の中で叫んだ時、私が目を覚ました。

『……ゆ、め?』

『気が付いたのか?』

直ぐ隣で声が聞こえ顔を横に向ける。

『っ!』

そこに居た人物に気が付き目を見開く。

頬に冷や汗が流れ体を起こした私は少し後ろに下がる。

口を軽く開きそこにいた人物の名前を呟く。

『アガット……』

『……』

名前を呼ばれたアガットは私の方へと振り向く。

しかし直ぐに目の前で焚いている焚き火に目を戻す。

どうしてこいつがここに居るの?

私は確かあの黒い波に呑まれて……。

『お前は俺が助けた』

『っ?! ……どうして?!』

そんなこと……聞くまでもないという事は分かっている。

アガットは私に目を向けると言う。

『お前を助けたかった』

『……はあ?』

アガットの思ってもみなかった言葉に目を見開く。

私を……助けたかった?

そんな言葉……信じられるはずがない。

だってこいつらの狙いは私の中に眠る均衡の錠前だ。

私を助けた理由なんてこの錠前の狙ってのはずだ。

『嘘を吐かないで! あなたたちの狙いは均衡の錠前でしょ?! それ以外に私を助ける理由なんかあるわけがない!』

『――っ!』

するとアガットは私との距離を縮めると私の手首を力強く掴む。

『いたっ……!』

そしてそのまま私の体を後ろの壁へと押す。

私の足の間に自分の足を入れ逃げられない状態にする。