【アク】

『お帰り二人共』

『ただいま戻りましたアク様』

イェーナとバーントは膝を付くと深々と頭を下げた。

その姿を玉座で見下ろしながら俺はアガットの姿がない事に気が付いた。

『アガットはどうしたのかな?』

『……それが』

イェーナは言いづらそうに俺から視線を逸した。

どうやらあちらの方で何かあったようだ。

二人の様子からして死んでいない事は確かだろう。

『詳しく話してもらっても良いかな?』

『……実は』