fairy3 空の物語 中

酷い頭痛が頭を襲う度に俺は思い出そうとすることを諦めた。

いくら考えたところでノイズによって邪魔されるからだ。

『こーらっ! いつまで寝ているのアガット?』

『っ!』

名前を呼ばれ目を覚ますとそこには見覚えのある顔が二つあった。

『……なんだ。イェーナとバーントか』

『ヴァニティ様が呼んでいるのに、呑気に寝ている場合じゃないでしょ?』

『……あぁ、そうか』

もうそんな時期なのか。

『ほら、行くぞ』

俺は体を起こし先に行く二人の背中を見つめた。

あれはただの夢だ。

たとえ昔の記憶がなくとも俺たちがすべきことはたった一つだ。

必ずこの手でシアンから“均衡の錠前”を奪う。

それだけだ。

『待ってろよ。シアン』

そう呟いた俺は何の色も持たない空を仰いだ。