あの頃は生きてて楽しかったと思う。

隣には弟や妹が居てお母様も居てくれて……。

周りから何度も否定され続けてきた私たちの存在を、私は否定することもなかった。

でもあの出来事のせいで私は自分の存在を否定した。

対の存在だった妹を亡くしてから存在する意味がなくなったからだ。

私だけでは全てを“無”に還してしまう。

“有”というふうに存在させることは出来ない。

存在させるものは存在させ、存在しないものは無に還す。

それが有無の妖精の成り立ちだった。

有無の妖精の存在があることで妖精界の均衡は保たれていたのに、それをあの人は全て壊した。

唯一、愛情を持って育てていた弟の為にあの人は私のたった一人の妹を殺した。

そのせいで弟も狂っていった。

私は無の妖精だから全てを無にして行かなければならない。