「・・・ん、んん〜!」

目が覚めた少女は天井が違うことに気付く。

(あれ?私、なんで寝ているんだろう?・・・あ、そういえば砂漠で意識を失った様な)

起き上がって周りを見渡す。少しだけ見る限りだと寂れた建物である。

(ここの町は私が目指していた町なのか?ここからじゃよく分からない。外に出てみるか)

少女は部屋から出ようとした時である。

いきなり扉が開いた。

「おや、もう目が覚めたのか。もう少し寝ていた方が良いぞ。君は脱水症状で倒れていたからね。」

「お前が助けてくれたのか?」

「そうだよ。町が近くだったから背負って運んだのさ。」

「そうか・・・。助かった。この礼は返す。お前の名前は?」

「俺はシノケン。この町の防衛隊長さ。礼は返さなくて良いよ。倒れた人を見捨てることが出来なかっただけだからさ。」

「だったら、何か手伝わせてくれないか?恩を返さないのは武芸を極めた者として恥ずかしい。」

シノケンはこの少女の力のある目から「手伝わなくて良いよ」とは言えなかった。見た目からして物凄く真面目な雰囲気がする少女である。意地でも「手伝わせろ」と言いそうであったからだ。

「分かった。じゃあ1つ手伝ってもらいたいことがあるよ。・・・ところで君の名は?」

「遥(はるか)だ。」