「咲桜」
 

昼食を終えて教室に戻る途中、頼に呼び止められた。


「ん?」


「確認あんだけど」


「なに?」


「咲桜は、将来的意味も含めて流夜くんがすきなの?」


「―――」
 

頼の直球過ぎる問いかけに、一瞬言葉をなくしてしまった。


しかしこれははっきり答えられることだ。


口を開きかけたところで頼が、「ああ、わかった。もういいや」と遮った。


「……私まだ答えてないけど」


「カオ真っ赤」
 

ばちっ。


慌て過ぎて、頬を押さえようとした手が平手打ちのようになってしまった。


痛い……。


「言葉よりも雄弁、ってさ。邪魔したりしないから安心してよ」
 

微かに微笑んで、頼は軽く咲桜の肩を叩いて追い越して行った。


「………?」
 

邪魔って……まだ流夜くんを追いかける気があったのか?


「あー、咲桜。素直に受け取っていいからね、今の」
 

混乱している私の肩に、笑満も手を置いた。