「僕、中高と寮で同室だったんだけど、毎日結構な量の睡眠剤使ってたよ。生後間もなくの経緯も悲惨だし、その後に親戚たらいまわしにされてるからね。安穏(あんのん)と休むことには縁がなかったみたい。今も改善されたのか知らなかったんだけど――咲桜ちゃん、眠剤とか使ってるの見たことないの?」
ぶんぶん首を横に振った。
眠剤とかそんなもの、影を見たことすらない。
「でも寝言聞いてるんでしょ? それって流夜寝ちゃってるじゃん」
墓穴。
まさか流夜くんにそんな体質があったとは知らなかったから……。
「そう、寝言言うんですよ。私は眠剤とかは知らないんですけど、『みるこ』って言ってました。ミルコ・クロコップ?」
「それではないね」



