朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「僕、中高と寮で同室だったんだけど、毎日結構な量の睡眠剤使ってたよ。生後間もなくの経緯も悲惨だし、その後に親戚たらいまわしにされてるからね。安穏(あんのん)と休むことには縁がなかったみたい。今も改善されたのか知らなかったんだけど――咲桜ちゃん、眠剤とか使ってるの見たことないの?」
 

ぶんぶん首を横に振った。


眠剤とかそんなもの、影を見たことすらない。


「でも寝言聞いてるんでしょ? それって流夜寝ちゃってるじゃん」
 

墓穴。
 

まさか流夜くんにそんな体質があったとは知らなかったから……。


「そう、寝言言うんですよ。私は眠剤とかは知らないんですけど、『みるこ』って言ってました。ミルコ・クロコップ?」


「それではないね」