あーん、と笑満手ずから食べるのを見て、私はそっと顔を背けた。


見るもんじゃないよ。恥ずかしいよ。


流夜くんがこういうのを要求する人じゃなくてよかったよ。


「うま」


「でしょ! 咲桜の料理は天下一だから!」


「笑満ちゃんってほんと咲桜大すきだよなー」
 

……人の作った弁当でその当人を前に置いていちゃつくな。


くそう、頼とこっそり消えて二人きりにしてしまうおうか。


でもそれは流夜くんが嫌がりそうだな……。


「咲桜、あいつのは渡せたのか?」
 

思案しているうちに先輩が訊いて来た。


「……持って来ているだけですよ。近づくなって言われちゃったし」
 

今も、持ってきてしまっている。


もうこれ、先輩にあげちゃおうかな。


「俺、届けようか?」