朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



けどさすがにそう言い張るのははばかられて――だって笑満が巻き込まれている話だ――その事実は口にしなかった。


「あと、私が二股なんてありえませんので」


「あ、そうだよな。何気に咲桜も神――あいつ大すきだし」


「何気じゃなくて本当に大すきですよ」
 

その言われ方も不満で言い返すと、先輩は「わりーわりー」と笑った。


「どうしたんですか? ここ一年校舎ですよ?」
 

私たちが昼食によく使う中庭は一年校舎から近い場所なので、上級生はほとんど見ない。


先輩は一個上の二年生。


「うん、笑満ちゃんと――その、一緒に昼飯とか思ったんだけど、もう食い終ってるよね」
 

あはは、とから笑いする遙音先輩。


私が笑満を見ると、瞬時にその頬が染まった。


「いえ――まだ食べ終わってないのでどうぞ笑満を持って行ってください」


「ちょ! 咲桜何言ってんの!」