「俺に。ちゃんとお互いの意思だ。だから俺はもう絆に関わることもないから、お前に付け回される覚えもない」


「………」
 

宮司は放心したように固まってしまった。


顔の前で軽く手を振ってみたが反応がないので、今のうちに帰ることにしよう。
 

幸い、宮寺が車の移動に邪魔になる位置にいなかったので、本当に放置して帰――ろうとしたところで、電話が鳴った。


上総警察署だった。


出ると吹雪で、上から署に来るように要請があったという。


発生した事件に、専門家として意見をもらいたいということだ。


――日本で取ったのではないのであまり言ってはいないけど、一応は犯罪学の博士号を持っているわけだから、学者を名乗れるんだけど。
 

咲桜を待たせてしまうな……。


こんなときでももう、優先的に考えるのは咲桜になっていた。