いつもなら名残惜しく通話終了ボタンも押せないのに、咲桜の安全のためを思う今日はすぐに通話を終えた。


「………」


宮司琉奏。俺らと敵対したと言われる同学年。


何らか目的あって講師を引き受けたのか――それともただ、卒業生として戻ってきたのか。
 

……降渡以上に面倒くさい奴との再会だった。
 

こんな気持ちの落ちるときは、尚更咲桜に逢いたくなる。


逢って、腕の中に置いて離したくなくなる。


「………」
 

咲桜が恋人であること、それだけは隠し通さねば。