ここは保健室じゃなかったっけ? 


相変わらず非道い間柄に困りながらも、「お願い」と言って室内からは見えないようにしゃがみ込んだ。


足音が近づいて来たので、夜々さんは窓を少しだけ開いているようにして、離れた。


こっそり窓から室内を覗くと、正面から少しずれて流夜くんと宮寺先生、夜々さんの背中が見える。


「朝間先生、なんでこいつがいるんですか」
 

苛立ちを隠せない流夜くんの声。


続けて「夜々子先生こんにちはー」と、宮寺先生の声がした。


「宮寺くんが今度の講師だからかしら」
 

夜々さんはいつも通りのおっとりした喋り方で、全然動揺が見られない。


「むしろ教師のお前が知らねー方が問題ある」
 

宮寺先生に言われ、流夜くんはむっとした顔になる。