「あ、華取さーん!」
 

放課後、笑満は遙音先輩と一緒なので、今日は一人で帰路につこうとしていた私は、滅茶苦茶明るい声で呼ばれてびくっと肩を跳ねさせた。


「あ……宮寺先生……」
 

思わずびくびくしてしまう。


悪い人ではないと流夜くんからも言われたけれど、どこまで知っているかわからない人だ。


「華取さん、あの……少し訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」


「訊きたいこと、ですか?」


「うん。もうこの学校の子でも面識ある子があんまりいなくて――夏島には関わるなって怒られたし」


「遙音先輩?」
 

首を傾げると、宮寺先生は「うん」と続けた。


「もしかして仲いい?」


「あ、私がではなくて、友達の彼氏なんです」


「……………夏島、彼女いんの?」


「はい。幼馴染だって言ってました。高校で再会したらしいです」