「おかえりなさい!」


「あ……ただいま……」
 

言った直後、流夜くんは夜目にわかるほど顔を赤らめた。


「? どしたの?」


「いや……随分言ってなかったから……」


「なにを?」


「……気にするな」


「今のは気になるよー」
 

バツが悪そうにそっぽを向く流夜くんの腕を摑んで、早く! と家の中へその手を引いた。


箏子師匠の注意は――ちゃんと、聞いておくよ。おけるかな?
 

だって、『ただいま』って言って私のところへ帰って来てくれたことが、嬉しくて。