朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



マナさんが繋げた縁は、偽婚約で止まっている。


在義父さんには付き合うことの了承を得たけど、偽婚約をしたこと自体はどうとも動かしていなかった。


「ああ――そういえばそうだったな」


「そういえばって……」
 

流夜くんの中では大した問題ではなかったのかな?


「咲桜を嫁さんにすんの、当たり前みたいになってて忘れてた」


「………~~~っ」
 

あ、当たり前……ですか……。
 

ときどき爆弾を落とす頓珍漢め。


「でも――ちゃんとしておかないと駄目だよな」
 

そっと、左手を取られた。


「咲桜が高校を卒業したら、正式に婚約してほしい」