朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「あ、あの! 違うの違うの! そうリアルに書きたいんじゃなくて、こう書けたらいいなーみたいなものだから! 重く受け取らないで大丈夫だから!」


「い――や」
 

ぎゅっと、せっかく開けた隙間が呆気なく閉じる。


「それって、誰の嫁さん?」


「うっ……」


「なあ、誰?」


「うう~」
 

私はただ、真赤になる。


答えは知っているのにわざとな質問って悪質だ!


「で、でも! 私たち、……わたし、たち、」
 

私たち、という表現がなんだか恥ずかしくて、縮こまる。


「……………偽婚約のまま、だよ?」