「あ、あの! 違うの違うの! そうリアルに書きたいんじゃなくて、こう書けたらいいなーみたいなものだから! 重く受け取らないで大丈夫だから!」 「い――や」 ぎゅっと、せっかく開けた隙間が呆気なく閉じる。 「それって、誰の嫁さん?」 「うっ……」 「なあ、誰?」 「うう~」 私はただ、真赤になる。 答えは知っているのにわざとな質問って悪質だ! 「で、でも! 私たち、……わたし、たち、」 私たち、という表現がなんだか恥ずかしくて、縮こまる。 「……………偽婚約のまま、だよ?」