朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「そ、れは――」


「世間的な意味じゃなくて、咲桜に、俺が咲桜と一緒にいることをゆるしてほしい」


一緒に、いる。


「……あのね?」
 

そろりと口を開いた。


「あの、進路調査、そろそろあるでしょ?」


「え? ああ、そうだな」


「うちだとほぼ進学だけど――その、妄想しちゃう希望があって……」


「希望?」


「うん……。その、……およ、めさん……」


「………」
 

今度は流夜くんがフリーズしてしまった。


腕の中で必死にもがいて、わずかな隙間を作って、固まった流夜くんを見上げた。