朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



違う。認めたくないんじゃない。


「……ゆるしたくない……」


「……そうか」
 

ゆるしたくない。


愛されている自分なんて。ゆるし方がわからない。
 

流夜くんの腕が私の背中に廻った。


引き寄せられて、流夜の胸に額から突っ込んだ。


「りゅ――」


「俺、こうしてんのが一番すきかも」


「……私のおでこ強打するのが?」


「じゃなくて。……咲桜を真正面から抱きしめているときが、だよ」


「………、~~~~~」


「消えてしまいそうで怖いんだ。今まで誰にも持ったことがない感情だから、どうすればいいのかわからない。だから、俺が咲桜を愛することを、ゆるしてほしい」


「―――」


「咲桜にしか出来ないことだ。俺に愛されること、じゃなくて、俺が咲桜を愛することを、咲桜にゆるしてもらいたい」


「――――う、うあ」