朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「……咲桜? どうし


「だって、“父さんの娘”じゃなかったら、宮寺先生は私に話しかけてなんてしてこなかった。流夜くんにも嫌な思いさせなかった」

「咲桜、それは


「でも、一番に、私は“父さんの娘”じゃなかったら、“流夜くん”と出逢えてもなかった……!」
 

気づいてしまった。


《今ある現実》の、大前提はそれだった。
 

マナさんの画策だって、『権力的利用価値のある華取在義の娘を護るため』から始まっている。


そして、在義父さんの娘が自分ではなかったら、流夜くんは別の誰かと出逢っていた。


学校で出逢っていても、流夜くんは在義の娘だから不用意に近寄らない、と言う風に認識していたそうだし、それすらもなかったら、私はただの生徒だった。
 

全部ぜんぶ、流夜くんとの関係は、それがないと始まらない。


「……在義さんの娘じゃない方がよかった?」