朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「開けるよ! いきなりっ
 

ん、と口をふさがれて詰まった声を出す。


「んにゃ!」


「お前面白いなー」
 

形勢逆転。完全に流夜くんが主導権を握っていた。
 

シートベルトはもう外してあるから、私を抱き寄せるのは簡単だった。


「りゅ! こういうことするときは事前に言ってよ!」


「先に言ったらお前を驚かす楽しみ減るだろ」


「耳元で言わないでー!」
 

しっかり抱きしめられているので、流夜くんの口は私の耳元に近い。


吐息も感じる距離だ。こ、これは額がくっつくのとどっちが近い……⁉ 


私の動揺なんて、流夜くんにはありありと伝わっているだろう。


「どうだった? 宮寺の講義は」


「え? あ、うん。……細部まではわからなかった」


「……わからなかったのか」