確かめるような口調に、宮寺先生の方もはっきりとは認識していなかったのかと疑う。


「咲桜、宮寺先生と知り合いなの?」
 

間の悪いことに――それともよいことか、今一緒にいるのは笑満だけではなかった。


クラスの友人と、まとまって帰っていたところだ。


「華取さん、少し話したいことがあるんですけど、時間ありますか?」
 

問われて、私の視線は彷徨った。


視界の隅に笑満が肯くのが見えた。


「咲桜! せっかくあの宮寺先生と話せる機会なんだから言ってきなよ! あたし、遙音くんと約束してるし」
 

笑満が笑顔で、ぐいっと咲桜の背中を押す。反応したのはクラスメイトだった。


「笑満ってば、どうしたらあの最優秀の夏島先輩と付き合えるの?」


「夏島先輩に彼女いなかったってのも驚きだけどねー」


「二年の先輩かから嫌がらせされたらうちらに言うんだよ? みんなで乗り込むから!」