「さすがにすぐに認可はされないだろうから、また明日来ます。それまで咲桜はお預けでーす」
と、わざとらしく言って頼は出て行こうとした。
また流夜くんが頼に怒らないか不安に思ったけど、そんな反応はなかった。
代わりに、
「日義。お前は少し残れ。話がある。咲桜たちは帰っていい」
「「は?」」
私と頼の声が重なった。
なんでその指名? 戸惑う私たちに、先輩だけがわかった顔をしていた。
そのまま頼にささやく。距離的に、私にも聞こえた。
「頼。ここはお前、残った方がいい。届けは明日にして」
「は? なんで」
「咲桜と逢わせやすいって恩作ったって無駄だ。お前の『居場所作り』はあいつにはばれてる。わからない奴じゃないから、話聞いてやれ」



