朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「さすがにすぐに認可はされないだろうから、また明日来ます。それまで咲桜はお預けでーす」
 

と、わざとらしく言って頼は出て行こうとした。


また流夜くんが頼に怒らないか不安に思ったけど、そんな反応はなかった。


代わりに、


「日義。お前は少し残れ。話がある。咲桜たちは帰っていい」


「「は?」」
 

私と頼の声が重なった。


なんでその指名? 戸惑う私たちに、先輩だけがわかった顔をしていた。


そのまま頼にささやく。距離的に、私にも聞こえた。


「頼。ここはお前、残った方がいい。届けは明日にして」


「は? なんで」


「咲桜と逢わせやすいって恩作ったって無駄だ。お前の『居場所作り』はあいつにはばれてる。わからない奴じゃないから、話聞いてやれ」