朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「遙音くん?」
 

笑満が扉を開けると、壁に背中をつけて顔を引きつらせている遙音先輩がいた。


「いつからいたの?」


「あー、部長は咲桜にしときますんで、のあたり? 入っていいのかわかんなくて」


「ごめんねっ、すぐ気づかなくてっ」
 笑

満が顔を蒼くさせると、先輩は「気にしないで」と軽く笑った。


「オトも入る? 副部長とかやる?」


「なんでいきなり役職ついてんだよ。つーか、何? なんの部活やるわけ?」
 

入って来た先輩が、頼が手にしている紙をひったくった。


そこには三人の名前と、空白の顧問の欄。


そして、『色彩研究部』と書かれている。


「……色彩けんきゅうぶ?」
 

先輩の声は胡乱に響く。