朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「そうだなー。ここの教師、大体日義を敬遠してるよな」
 

和やかだった。


根拠のない勝利宣言をされているのに、流夜くんはのほほんとしていた。大物か。


「じゃー先生、引き受けてくれます? つーか引き受けますよね? わざわざ咲桜と接触する理由作ってやったんだから」
 

……頼、ちょっとイラッとしていたみたいだ。


流夜くんのあまり効いていない反応に。


「構わない。もし不受理になったらまた来い。俺からも意見書作ってやるから」


「それはどうも。んじゃ」


「一ついいか? 遙音はその部にいるのか?」


「―――」
 

笑満がびくりと肩を跳ねさせた。


流夜くんは二人が付き合い始めたことを知っている。


そういえば頼には言ってなかった……。


「今んとこ俺らだけですけど。オトも入れたいんですか?」


「入れたいというか、いた方がこちらとしては色々都合がいい。もしお前たちが嫌ではなかったら誘ってみてくれないか? そこにいるから」
 

と、流夜くんは廊下に通じる扉を――私たちが入って来た方を指さした。