朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「なん――」


「神宮先生に頼みたいことがあって来ました」
 

流夜くんが咎める前に、頼が先程の紙を突き出した。


「俺ら三人で部活作りたいんで、顧問になってください」
 

さすがにその案は意外だったようで、流夜くんは一瞬だけぽかんとしていた。


しかし次の瞬間には頼の考えと行動を悟ったらしく、軽く微笑を見せた。


「なるほど。日義らしい妙案だな」


「お褒めにあずかり光栄です。部長は咲桜にしときますんで」


「えっ! なんで私⁉」
 

部長もなんもつい今しがたこれが部活の申請書だと聞いたばかりで、何部だかも知らないのに。


「だって部長会議とか、俺、起きてる自信ないし」
 

だろ? と見返されて、返答に詰まった。


起きている以前に、頼は会議室に行くことも出来ないと思う。


ぐーたら寝てばっかだから。


「まあ冗談は置いておいて」
 

いや、真剣な問題だよ。