「………」
あえてそれには答えないでおいた。
咲桜の方がもっと非道い評価をしそうだったな……。
ああ、確かに似ているよ……いろいろ。
「……惚れたんだ。それだけ」
本当に、ただそれだけなんだ。
今までにない感情を、咲桜は俺に持たせた。
「お前は?」
当たりまえのように問い返すと、遙音は面喰った顔をした。
「え……と?」
「松生のこと、忘れてたわけじゃないんだろ?」
「当り前だろ! 一秒たりとも!」
「うっせえ」
また叫んだので、今度はノートで叩いた。
遙音は、悪い、と謝って座りなおす。
「笑満ちゃんは――たぶんずっと、すきだった。今になって気づいただけで」
「……よかったじゃねえか」
「うん――」
よかったな。
再びの邂逅。
出逢えても、繋がるかわからなかった過去の因縁。
それも越えて、今、松生は遙音の『彼女』、だ。



