朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「……それで、悩みは解決か?」


「うん? まーいちおーは」


「じゃあ今度はこっちからな。お前、進路はどうする気だ?」


「……ここって進路指導室だっけ?」
 

遙音が嫌そうな顔をした。


「教師としての方じゃねえよ。親代わりとして、だ。お前がどう思おうとな。どの道選ぶにしろ、俺ら三人、頼れよ」


「………」
 

遙音は少し顔をうつむけた。


遙音とは、結構昔からこういう話はしてきた。


「……大学、は行く気ない」


「進学しないのか?」


「もともと高校も行く気なかったし――勉強なんて独学で出来るし、なんだったらお前らに師事した方が勉強になる気もするし。――今のとこ、進学は考えてない」


「なら就職か?」


「うん――」
 

一筋の眼差し。


その先に見ているものが、今ならわかる気がした。