「……それで、悩みは解決か?」
「うん? まーいちおーは」
「じゃあ今度はこっちからな。お前、進路はどうする気だ?」
「……ここって進路指導室だっけ?」
遙音が嫌そうな顔をした。
「教師としての方じゃねえよ。親代わりとして、だ。お前がどう思おうとな。どの道選ぶにしろ、俺ら三人、頼れよ」
「………」
遙音は少し顔をうつむけた。
遙音とは、結構昔からこういう話はしてきた。
「……大学、は行く気ない」
「進学しないのか?」
「もともと高校も行く気なかったし――勉強なんて独学で出来るし、なんだったらお前らに師事した方が勉強になる気もするし。――今のとこ、進学は考えてない」
「なら就職か?」
「うん――」
一筋の眼差し。
その先に見ているものが、今ならわかる気がした。



