朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「そういやさっき言ってた――咲桜に助けられた? とかが原因なのか?」


「あー、それはなんつーか、そこに関しては咲桜に礼言うしかないんだけど……出来たら俺が引きあげたかったって言うか……」


「ひきあげ?」
 

遙音は軽くうつむく。


「……うちの件で、笑満ちゃん少し――人間不信、みたいになってたんだって。学校の友達とかに対しても。そのタイミングで笑満ちゃんの家も引っ越してるから――。頼から聞いたんだけど。あまりうまくやれてなかったところを、咲桜が手ぇ握って引っ張ってくれたんだって。だから、頼の所為でほかに仲いいの作れなかった咲桜や、原因の頼と友達になったんだって」


「……お前にはどうしようもねえじゃねえか」


「そうだけど! ……神宮だって、咲桜のことで、もっと早くに逢ってたらとか思うことあんじゃねえの?」


「そりゃ、あるけど……」


「それと似たようなモンだよ。どうしようもないけど――願望」
 

どうしようもない願望。


願っても叶わない、敵わない過去。