朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「それにしては浮かない顔だな?」


「あー、うん」
 

いただきます、と遙音は打ち明けるより先にカップを手にした。


「……笑満ちゃんが、泣いたんだ」


「松生が?」
 

そりゃ泣くくらいあんだろ。


そう言うと、遙音は軽く首を横に振った。


「なんつーか、――ああごめん時間くれ!」
 

頭抱えて突っ伏した。時計を確認する。


時間……吹雪のところは、遅れても大丈夫。


遙音に「勝手にしろ」と言って、仕事――私事用のパソコンを開く。


仕事面でも公私の区別はある程度つけておかないと危ないから、仕事用のパソコンは二台用意して使い分けていた。


言っても、家に持ち帰り仕事をすることはないので、家で開くのは私事用の方だけだ。
 

遙音がローテーブルに突っ伏して唸っているので、放っておいて本棚に資料を取りに行く。


帰ってくると、今度は鞄を抱き込んで唸っている。


まあなんだ……がんばれ。


「……神宮って咲桜に泣かれたことある?」