朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



実は。


咲桜が明日の朝ごはんとお弁当! と言って持たせてくれたものがある。


遙音がここにいそうだという話はしてこなかったので――今、咲桜の頭の中が幸せな松生でいっぱいで、そこに少し物憂い顔の遙音を入れるのは忍びなかったので――きっちり二食分だ。


元々朝食は摂らないのから、一つは遙音に出すつもりだった。


明日咲桜には謝ろう。


「松生と付き合うんだって?」


「! ……どこでそれを、って――咲桜か」


「ああ。ものすごく嬉しそうだった」
 

遙音は、やっちまったー、と片手で顔を覆った。


「なんだ? 誤解なのか」
 

遙音の分もコーヒーを用意した。


既に床に直に座り込んでいるので、テーブルに置いて俺もソファに腰を下ろす。


「いや、誤解じゃねえんだけど……」