朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「………」
 

在義さんもなかなか業な生まれだ。


少し――補足情報を調べるために、暇があったら天龍に帰るか。


咲桜を連れて……は、どうだろう。


立場上、すぐには実行出来そうにない。


……だが正直、天龍の郷の知らない顔に好奇心が騒いでいるのも抑えられない。


「………」
 

そして今は――遙音と松生だ。


アパートに帰ると、思った通り、遙音がいた。


駐車場のガードレールに腰かけて夜空を見上げている。
 

……腹を決めたのか、腹を括ったのか。


「遙音」
 

呼ぶと、透明な瞳が流夜を見た。


「あれ。てっきり華取さんとこに泊まってくんのかと思った」


「思ったらお前、ここにいないだろ。中入れ。風邪ひくぞ」
 

部屋の鍵を開けると、遙音は軽い足取りでやってきた。


「入りまーす」