「ああ。華取は影小路(かげのこうじ)っていう、天龍の大元締めの一つに繋がる家柄でね。……そこから面倒を頼まれたんだ」
「面倒……?」
「千歳は、いわゆる没落貴族だ。けれど今もそれなりの格式と権力がある。そこで動きがありそうだから対応しろ、とね」
「在義さんに命令したんですかっ? 命知らずな……」
「命令出来る立場にあるんだよ。まあ――元々、私は本家に籍は戻していないから華取の名をもってどうこうするわけじゃない。華取の家はあの火事で絶えている。それでいいんだ。けれどここが分家で、私が唯一の直系である以上、ある程度はしないといけないことがある」
と、苦笑したあとに額に組んだ手を当てて長くため息をついた。
「ほんとーにあの小路(こうじ)と千歳は厄介ごとばかり起こしやがって……まったく忌々しい……」



