「「……え?」」
咲桜も俺も、聞いたことのない話に大きく瞬いた。
「まあ家の事情だから言ったことなかったけど、ここは華取の分家の一つでね。私は生まれてすぐに本家から養子に出されたんだよ」
養子? これも初めて聞く。
「そう――なんですか?」
「そうだよ。と言うか、生まれた家は天龍だから、龍生とは同郷なんだよ」
だからあれと顔見知りなんだ、と付け加えた。
「でも――天龍に華取って名前の家、ありましたっけ?」
俺も一応、龍さんの祖父の許――天龍という土地で育っているが……。
「いや、今はないね。私が養子に出されてすぐに本家まるごと火事で焼け落ちたんだ。本家筋の人間もそのときに亡くなっているから、実質華取の家はもうない。嫡出で直系は、今は私だけだ」
咲桜は何度も瞬いている。



