「そう言えばさっき桃が見えたような気がしたんだけど――」
「あ、写真。出してた」
「ああ、これか」
咲桜が勢いで持ってきてしまった写真を在義さんに渡すと、在義さんは優しく目を細めた。
そのまま、咲桜はキッチンに向かう。
「夜々ちゃんのおかげかな。咲桜は大分強く育ったねえ」
「箏子師匠の所為もあると思うよ」
朝間箏子。朝間先生の母で、咲桜に行儀作法と武術を教えた師範だと聞く。
一度だけ逢ったことがあるけど、なんか俺、敵視されている気がした。
「ああ……箏子先生は祖母っていうより師匠だよねえ」
「って言われても私どっちもいないからおばあちゃん感覚とかわかんないよ? そもそも――私と桃子母さんをゆるしてくれたかも」
……在義さんの両親は、桃子さんが現れる前――まだ在義さんが学生の頃に他界しているらしい。
在義さんはあまり自身の身の上話はしないのから、俺も初耳な内容がちりばめられている。
咲桜がお盆にお茶碗を載せてきて渡してくれた。
「大丈夫だったと思うよ。そもそもって言ったら、私もこの家の実子じゃないし」



