朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「あ、やっぱり来てたんだね。すまない、ノックすればよかったね。下にいるから二人ともお腹すいたら来なさい」
 

在義さんは安心させるような微笑みを残して扉を閉めた。
 

もう顔も至近距離だった咲桜とともに、在義さんの次にお互いを見て何度も瞬いた。


「「………――――!」」
 

ガタガタ! バタンッ! ドダダッ!


騒々しく部屋から駆け出て、階段を下りる途中の背中を見つけた。


「在義父さん!」
「在義さん!」
 

声が重なる。


「「なんか悪いものでも食べた⁉」んですか⁉」


「は?」
 

すごい勢いでやってきた俺たちを振り返って、在義さんは間の抜けた顔をした。


「在義さんが邪魔しないって何事ですか!」


「いつもだったら引き裂いて流夜くんいじめるじゃん! 何かあったの⁉ まさか誰かが狙撃された⁉」
 

混乱の境地だった。


在義さんはまだぽかーんとしている。


あの在義さんが、愛娘にくっついているところを邪魔しないなんて何事だ!
 

――ただ、とにかく困惑していた。