「あー、咲桜だー」
 

玄関に入るなり抱きしめられて、たぶん今までだったら慌てていたんだろうけど、今日は違った。


「流夜くんだー」
 

声が震えないように頑張って、私からも流夜くんの背中に腕を廻した。


流夜くんの腕の中に置いてもらうと、ふっと力が抜ける。


気を張っていたのが緩んで、安心、という気持ちを知る。
 

家に帰ってから私は、流夜くんに連絡を取った。


逢いたい、と正直に言うのは……少し気恥ずかしくて、今日はご飯を食べに来ませんか、という言い方をした。



流夜くんはいつもよりは少し遅くなったけど、うちに来てくれた。
 

今日は夜々さんの牽制はなかったみたいで、玄関で迎えるなり抱き付かれた。


在義父さんがまだ帰ってなくてよかった……。知られたら絞め殺されているよ。