「大丈夫?」

抱き締めたまま、耳元で囁く秋に赤くなる愛心がいた。


「あ、ありがとう、ごめんね」


「…………チッ」

思わず出た舌打ちに、睨む秋がいた。

愛心には、気づかれていない様だ。




しばらく歩くと、愛心が立ち止まる。


「ここです。
ありがとう……」


だけど、君はなかなか入らない。


「どうした?」


そう声をかけたら君が突然、泣き出した。