さっさと課題を終わらせてしまいたいと思いつつ、たまに机に突っ伏して寝落ちしてしまったりする。
そんな日は彼方に身体を揺すられて目を覚ます。それも悪くないと思ったりもする。
待つ時間の過ごし方はそれぞれだけど、ずっと彼方を見ている。
これまではずっとチームメイトとして、近くで見てきたけど、高校からは違う。
少し遠くなってしまったけれど、目に焼きつけたい。
一秒でも長く、好きな人のこと。
「朝霧さんなにしてるの?」
ふと、頭の上から降ってきた声に顔を上げる。
そこに立っていたのは、
「花崎くん」
「ははっ、僕のこと苗字で呼ぶ人あんまいないよ?」
「る、るい……?」
「うん、それでいい」
満足げに笑って私が座る席の前に腰をかけた彼。
「いつも熱心に誰を見てるの?」
「えっ?」
突然の問いかけに素っ頓狂な声が出る。
正直に答えようにも恥ずかしさがまさって口をつぐむ。
……好きな幼なじみを見てる、なんて。
ただのクラスメイトには言えっこない。
「顔真っ赤だ」
「や、やめてよ……っ」
「ははは、朝霧さん可愛い」
「……っ」
なんだこいつ。
そんな整った王子様の顔でサラッとそんなこと言わないでほしい。
むっとして顔をそむける。
それでも彼は懲りずに「君の視線の先にいる人が羨ましいよ」と続ける。



