天国で君が笑っている。



必死になる美乃梨ちゃんがあまりに可愛くて、手を叩きながら笑っていると、そのうちチャイムが鳴って担任と思わしき男性が教室に入ってきて会話が終了した。


***


あれよあれよと高校へ入学して1ヶ月が経った。
春の日差し、風、校舎の輪郭、生徒たちの顔ぶれ。
新鮮に感じていたものがどんどん私の中で慣れに変化していく。
クラスのみんなとも馴染みはじめ、楽しい高校生活を送っている。



「遥香ちゃんじゃあね」

「うん、また明日ー」


放課後、美乃梨ちゃんにさよならを言い、席に座ったまま課題に手をつける。
時折帰宅部のクラスメイトたちと少し会話をし、ひとり、またひとりと帰っていく姿を見送る。


部活動が始まってから、私の放課後はいつもこう。


そして教室に誰もいなくなって、窓際の1番後ろの席へと移動する。
ここからだとグラウンドがよく見えるんだ。


陸上部、サッカー部、そして……野球部。
練習の風景を教室の窓から眺める時間がとても好き。


頑張っているアイツを見るのが、好き。


野球部の練習が終われば蒼と彼方を迎えに校門まで行く。
そして三人で話しながら帰る。


放課後から家に帰るまでのこの時間が、いまの私の心の支えだ。