それぞれの目標のために、頑張ると決めていた。


中二の冬、私は、自分の人生の短さを知った。
それでも私の夢は、私たちの夢は変わらない。


***


中三の夏。私の野球人生にとっては最後の夏。
私たちが所属する野球部は全国大会へと無事に駒を進めた。
全国大会ではベスト4に入り、エースで4番を勤めた彼方はきっとスカウトの目に止まったことは間違いない。


たくさん泣いた。みんなで抱き合って喜んだ。全国大会でベスト4は素晴らしい戦果だ。
私は出場できなくても、ベンチから声が枯れるほどの声援を送った。


表彰式が終わり、選手たちのすすり泣く声ばかりが周りから聞こえてきていた。
負けて悔し泣き、勝って嬉し泣き。それぞれの涙の理由。


青春のひとつが終わっていく。
その瞬間を、ただ、感情に身を委ねて噛み締めていた。


帰りのバスでは全員が終始無言だった。
みんな、燃え尽きていたから。
そして学校へ到着すると、一度解散した。
この後焼肉屋で打ち上げをする。これも毎年恒例で顧問の高谷先生の奢りだ。


帰り道が同じ人たちと、ユニフォーム姿のまま歩く。
自分が着ている真っ白なユニフォームと、みんなの泥だらけのユニフォームを見比べて、公式戦の日はいつも胸を痛めていた。


それも、今日で、最後。


ひとり、またひとりと「俺こっちだから」と別れていき、ついに私と彼方と蒼だけの3人となる。
フラフラと歩いていると、いつも3人で立ち寄っていた公園の前に差し掛かり、「ちょっと寄っていかね?」と彼方が言う。


頷くといつものようにベンチにスポーツバッグを起き、グローブをはめて三角形でキャッチボールをはじめる。


ここで、こうして、色んな会話をした。
くだらないことから、真剣に夢の話まで。
小学生の頃から変わらずずっと、私たちは楽しく野球をしてきた。