天国で君が笑っている。



冬休みの部活は盲腸の手術を受けるといって休むことになった。本当の理由を知っているのは顧問と蒼だけだった。


からっぽ。からっぽになったような気分だった。


治療方針が決まった。春休みに手術することとなった。


どんどん進んでいく。予定になかったことが。想像もしていなかったことが。


この世界にはきっと悪魔がいる。
その悪魔が私のことを目の敵にして、いろんな悪いことを私に与えているんだ。


そうとしか思えない。


私、なにかいけないことをした?


ニンジンが苦手でいつも蒼に食べてもらっているから?
手洗いうがいしなさいってお母さんに言われて、寒いからって適当に洗ってたから?
洗っといてって言われた食器を忘れたまま、放置してたから?


そんなことが理由なら謝る。
今からでもニンジンは自分で食べるようにするし、手洗いうがいはしっかりするよ。
お母さんやお父さんの言いつけ守る。


いい子にするから……ダメかな。

生きちゃ。


***


12月31日。お母さんが掃除機をかけている音を聞きながら、リビングのソファでひとり膝を抱えて項垂れていた。大晦日だというのに。


「ただいまぁ」
「おじゃましまーーす」


蒼の声のあとに聞こえてきた声に私はすぐに反応した。
会いたくないと思って立ち上がろうとした瞬間にはもう遅い。


彼方はリビングにもう到着していた。


「あら、彼方くん来たの?」

「お邪魔します」

「ゆっくりしてってね」

「はい」

「とりあえずシャワー浴びね?」

「だな。借ります」


母と彼方と蒼の会話。
彼方が私のほうを見て「元気?」と声をかけてきたので「普通だよ」と返事をした。