天国で君が笑っている。



彼方はいつもそうだ。小学生の頃から。クラスの中心にいるけれど、一歩引いたところにいて、クールに笑っている。みんなより大人びていて、涼しい顔をして澄ましているの。ポケットなんかに手を入れたりして。


その姿を見るのが……なんだか私は好き。


野球にはあんなに熱心になるのに、他のことに対しては妙に冷めていて。
だけど本当は優しくて温かい人だということは充分に知っている。


中学生になって初めて彼方のことを知った女子なんかより絶対。
顔がかっこいいからって、野球部のグラウンドにくる女子よりも私のほうが絶対に彼方の魅力を知っている。


きっと、負けないよ。誰にも。


「……」


うわ、なんだそれ。負けないって、いったい誰と競っているんだろう。


頭の中で考えていたことに悶々として机に腕をつけて顔を伏せた。
恥ずかしくてたまらない。
彼方のことが好きな女子に、頭の中でマウントをとって、バカみたい。


こんなの……もう……。


このタイミングでチャイムが鳴り、先生が教室にきて朝のホームルームが始まった。
仕方なく起き上がると窓の外に目線を投げ、ジメジメと降る続ける雨に深くため息を吐いた。


今日も一日雨だと思うと、憂鬱な気分に拍車がかかるようだった。


***