天国で君が笑っている。



思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
どういう脈絡で、その発想に至ったのか理解に苦しむ。


「似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます……っ」

「あははは、照れてんの? かわいいね」


そう言った先輩の目線が私の背後に向かう。


「……よう、彼方」

「……うす」


青葉先輩の言葉に振り返ると、教室から姿を出していた彼方がいた。


「あんま先輩を睨むなって。君たちただの幼なじみなんでしょ?」

「まあ……」

「じゃあ俺が遥香ちゃん口説いても文句ないわけだ」


青葉先輩の口からスラスラ出てくる台詞をあまりうまく噛み砕けずに私はただ呆然としていた。

この人は、いったいなにを言っているんだろう?


「……まあ、別に文句はないっすけど」


そう言うと彼方が続けて「遥香は先輩より兄貴のほうが好きっすよ」と意味のわからないことを口走って頭を下げると、教室に戻っていった。私はまばたきを大袈裟に繰り返す。


「そうなの?」

「ちッ、違います!」


すかさず返事をし、「じゃあ私行きますから。あんまりからかわないでくださいね」とトイレへと歩く。

個室に入るとため息を吐いた。


私の周りにいる男子って変人ばっかり。


先輩は思ってもいないことばかり言うし、彼方は意味わかんないことを言うし。
兄貴って陸都くんのことだよね?


違うのにな。私、陸都くんのこと、好きだけど、恋じゃないのに。


恋なんてまだわかんないよ。私まだ十二歳だよ。好きってなによ。