彼方の言葉に「たまたまだよ!」という私の台詞が蒼とまたかぶる。それを見て大笑いする彼方。
「はははっ、お前らっ、マジで最高の双子だなっ」
お腹を抱えて笑う彼方に唇を尖らせて目を細める。
……彼方、笑すぎだから。
そんなこんなでようやく教室にたどり着き、黒板に書かれた座席表を見て自分の席に着く。
やっぱり名字が「朝霧」だと席は前の方になるよね。
蒼の後ろってことは容易に予想がついた。
「ねえねえ、朝霧さん」
「ん?」
「ふたりって双子、なの?」
隣の席に座っていた女の子に声をかけられる。
長い黒髪がふわふわと揺れている。
右目に泣きぼくろがある、垂れ目が特徴の可愛い女の子だ。
「うん、そうだよ」
「そうなんだぁ! どっちが兄? 姉?」
「私が姉だよ」
「……俺は認めてないけどなっ」
口を挟んできた蒼が座る椅子を蹴る。それを見てクスクス笑う彼女。
「あ、私、木下美乃梨。隣の席だし、仲良くしてね」
「うん、よろしく。遥香って呼んで」
「じゃあ私のことも美乃梨で」
「おっけい」
さっそく友達できちゃった。
なんて喜んでいると急に教室内が騒がしくなる。廊下から男子数名が歩いてきて「おー! お前ら久しぶりー!」とはしゃいでいるからだ。
見覚えのあるメンツに目を見開いた。
「お、遥香も同じクラス⁉︎」
「わぁ、久しぶり! みんなもなんだ!」
「おうよっ、シクヨロな!」