まあ、我が弟ながら、蒼は普通にかっこいいと思う。
顔は小さいし、目は二重で丸く大きい。それぞれのパーツの配置も整っていると思う。
背丈は私と変わらないけれど、男の子の成長期はこれからだろうし、性格も悪くはない……はず。
そして私たちの顔立ちはよく似ているって言われる。
となると、私もビジュアルはそんなに悪くないってことじゃ……?
なんてことを考えて歩いていたときだった。
頭に重い手が容赦なくのしかかってきて、咄嗟に「いだっ」と可愛くない声が漏れた。
両手で頭を押さえながら振り返るとそこには彼方が立っていて、「ちょっと、なにすんのよ」と突っ込む。
「ニヤニヤしながら歩いてんなよ。変なやつって思われんぞ」
「う、うっさいなぁ」
み、見られていたか……。
そんなに痛くもない頭をわざとらしくさすりながら彼方にあっかんべーをする。
フンと鼻で笑った彼方がごくごく自然に私の隣を歩く。
そういえば彼方も、見た目は悪くないよね。
切れ長の目は綺麗だし、鼻筋は通っているし、すこし無愛想だけど、クラスメイトの女子からは"クールでかっこいい"って言われていたし。
それになんか、制服を着ているからか、この前までランドセルを背負っていた男の子というよりは、少年というか……なにかが違って見える。
「……そんなに見ないでくれる?」
「彼方、もしかして背、伸びた?」
「まだまだ伸びるけど?」
目を丸くする。なんだそのドヤ顔は。