「えっ、ちょ……きゃ……っ」
「お前ぐらいなら、俺だって投げ飛ばせる」
そのまま上に抱えられて、脚が宙に浮き、驚く。お魚のように口をぱくぱくさせることしかできない。
だってこれ、いわゆるお姫様抱っこ……だよね?
「こら、お前らーっ!」
そして蒼が私たち目掛けてヒップアタックで突っ込んでくる。
「俺の前でイチャイチャするなー!」
鼻息を荒くしながら地面に倒れ込んだ私たちを見下ろしている蒼。尻もちは彼方がかばってくれたから、つかなかった。
その一連の動きを見ていたチームメイトに爆笑され、私は怒り、蒼を追いかけ回す。
彼方はやれやれと私たちをチームメイトに紛れて見物していた。
顔が熱く、恥ずかしさでいっぱいだった。
──そしてそれからまた時が経ち春、私たちは小学校を卒業し、地元の中学に進学した。