前の六年生が参加する最後の試合のあと、新キャプテンが彼方だと発表された。これは誰もが納得した。彼方以外いなかった。
そしてこれは少し意外だったのだが、蒼が副キャプテンに選出された。
蒼自身も驚いていたが、監督は「ふたりでチームを盛り上げていってくれ」と蒼の肩に手を置いた。
こうして私たちの小学校生活最後の一年がはじまった。
「なあ、俺さ、プロ野球選手になりたい」
春。五月も終盤の日曜日。野球の練習終わりに彼方と蒼と肩を並べて歩いていたときだった。蒼が急にそのようなことを言い出したのは。
空が赤く、風は穏やかに私たちの頬を撫でる。
「どうしたの?急に」
私が訊くと「いや、なんとなく。彼方は?将来どうなりたい?」蒼は彼方へと話を振った。私も返事が気になって彼方のほうを見た。
「俺は……お前らととりあえず野球やれてる今が楽しければそれでいい」
「えぇ!?」
驚いて、大きな声を出してしまったのは私だった。
「そんなのもったいないよ!彼方は野球の才能があるんだから!彼方はちゃんと甲子園にいって、ドラフト一位でプロ野球の球団に入って、その年の新人賞とらなきゃ!」
「ははっ、なんじゃそりゃ。俺の夢、めっちゃハードじゃん?」
「彼方ならそれぐらいなんてことないよ」
本心だった。心から私は彼方と彼方の野球センスを信じていている。
絶対に叶えてほしい。
「そうなったらヒーローインタビューで「おい、遥香。見てるか?」って言ってよね。テレビの前で見てるから」
「やだよ、ダサい。てかそこはテレビの前なんだ?」
「えー?球場に来てほしいのー?」
「は、うるさ」



